同人誌の原価を考えるとき、印刷費だけを見ていませんか。
もちろん印刷費は大きな費用です。
しかし、実際にイベントで同人誌を頒布する場合は、送料・イベント参加費・交通費・設営費などもかかります。
印刷費だけで計算すると、完売したのに思ったより赤字だった、ということもあります。
同人誌の頒布価格や損益分岐点を考えるなら、まず「何を原価に入れるか」を整理することが大切です。
自分の条件で原価や黒字ラインを確認したい場合は、こちらの計算ツールを使うと簡単です。
同人誌の原価とは
同人誌の原価とは、その本を作って頒布するためにかかった費用のことです。
狭い意味では、印刷費だけを原価と考えることもあります。
しかし、イベント参加を前提にするなら、印刷費以外の費用も含めて考えた方が現実的です。
たとえば、次のような費用です。
- 印刷費
- 送料
- イベント参加費
- 交通費
- 設営費
- 梱包材
- 決済手数料
- 宣伝用の費用
これらを含めて考えることで、実際に何冊売れたら赤字を回避できるのかが見えやすくなります。
原価に入れるもの一覧
印刷費
一番わかりやすい原価が印刷費です。
印刷所に支払う費用で、同人誌の制作費の中心になります。
印刷費には、主に以下が含まれます。
- 本文印刷
- 表紙印刷
- 製本費
- 表紙加工
- カラー口絵
- 特殊紙
- 早割・割増料金
小部数の場合、1冊あたりの印刷費は高くなりやすいです。
そのため、30部・50部・100部でどれくらい原価が変わるかを比較しておくと安心です。
送料・搬入費
印刷した本を自宅や会場に送る場合、送料がかかります。
イベント会場へ直接搬入する場合も、搬入費が発生することがあります。
送料は見落としやすいですが、部数が多いと意外と大きな金額になります。
たとえば、印刷費が30,000円でも、送料が3,000円かかれば、実際の費用は33,000円です。
頒布価格を考えるときは、送料も含めて計算した方が安全です。
イベント参加費
コミケや同人イベントに参加する場合、サークル参加費がかかります。
イベント参加費は、本を作る費用ではありません。
しかし、そのイベントで同人誌を頒布するために必要な費用です。
そのため、イベントで赤字を出したくない場合は、原価に含めて考えるのがおすすめです。
たとえば、参加費が8,000円なら、その分も本の売上で回収する必要があります。
交通費
会場までの交通費も、実際には大きな費用です。
近場のイベントなら数百円から数千円で済むこともあります。
遠征する場合は、新幹線代・飛行機代・宿泊費がかかることもあります。
趣味として割り切るなら、交通費を原価に入れない考え方もあります。
ただし、「イベント全体で黒字か赤字か」を見たいなら、交通費も含めた方が正確です。
設営費
イベントでは、机の上に本を置くだけでなく、見やすく並べるための道具を使うことがあります。
たとえば、以下のようなものです。
- 敷き布
- ブックスタンド
- ポスタースタンド
- 値札
- POP
- コイントレー
- 名刺
- お品書き
これらは一度買えば何回も使えるものもあります。
そのため、1回のイベント原価にすべて入れるか、数回に分けて考えるかは自由です。
初参加でまとめて購入した場合は、出費が大きくなりやすいので注意が必要です。
梱包材・通販資材
通販をする場合は、梱包材も必要です。
たとえば、以下です。
- 封筒
- OPP袋
- 厚紙
- ダンボール
- 宛名ラベル
- テープ
- 緩衝材
1件あたりは小さな金額でも、数が増えると無視できません。
通販価格を決める場合は、イベント頒布価格とは別に、梱包材や手数料を考える必要があります。
決済手数料・通販手数料
通販サイトや決済サービスを使う場合、手数料が引かれることがあります。
たとえば、通販サイトの利用料、決済手数料、振込手数料などです。
イベントでは現金頒布なら手数料はかかりません。
一方、通販やキャッシュレス決済では、売上額そのままが手元に残るわけではありません。
通販中心で頒布する場合は、手数料も原価として考えておくと安全です。
表紙デザイン・素材費
表紙デザインを依頼した場合や、有料素材を使った場合も費用になります。
たとえば、以下です。
- 表紙デザイン依頼費
- イラスト依頼費
- フォント購入費
- 写真素材
- 背景素材
- 装飾素材
これらは本の完成度を上げるための費用です。
印刷費とは別に、制作費として計算しておくとよいです。
校正・試し刷り・サンプル印刷
本番印刷の前に、試し刷りやサンプル印刷をする場合があります。
特に、色味やレイアウトを確認したい場合は、事前確認に費用がかかります。
少額でも、何度か繰り返すと合計金額が増えます。
原価を正確に見たい場合は、試し刷り代も含めておくとよいです。
原価に入れるか迷いやすいもの
自分の作業時間
同人活動では、自分の作業時間を原価に入れないことが多いです。
ただし、作業時間を完全に無視すると、かなり安い価格設定になりがちです。
利益を目的にしない場合でも、「続けられる価格か」を考えるうえで、自分の時間を軽く見すぎない方がよいです。
パソコン・ソフト代
パソコンや制作ソフト代を、1冊ごとの原価に入れるかは判断が分かれます。
同人誌制作だけに使っているなら、費用として意識してもよいです。
しかし、普段使いもしているなら、無理に1冊単位へ割り振る必要はありません。
イベント単位の赤字黒字を見るなら、まずは印刷費・送料・参加費・交通費を優先して計算するのがおすすめです。
食事代
イベント当日の食事代を原価に入れるかも、人によって考え方が分かれます。
厳密にイベント全体の出費を見るなら入れてもよいです。
ただし、頒布価格を決めるための原価計算では、必須費用から優先して考えた方がわかりやすいです。
原価計算の基本式
同人誌の原価は、次のように考えるとわかりやすいです。
総原価 = 印刷費 + 送料 + 参加費 + 交通費 + その他経費
1冊あたりの原価は、総原価を部数で割ります。
1冊あたりの原価 = 総原価 ÷ 部数
たとえば、以下のケースを考えます。
印刷費:30,000円
送料:3,000円
参加費:8,000円
交通費:4,000円
その他経費:5,000円
部数:50部
総原価は50,000円です。
30,000円 + 3,000円 + 8,000円 + 4,000円 + 5,000円 = 50,000円
1冊あたりの原価は1,000円です。
50,000円 ÷ 50部 = 1,000円
この場合、1冊1,000円で50部完売して、ようやく原価回収です。
原価を出すと頒布価格を決めやすい
原価がわかると、頒布価格を決めやすくなります。
たとえば、1冊あたりの原価が1,000円なら、500円で頒布すると原価割れします。
一方、1,500円で頒布すれば、完売しなくても赤字を避けやすくなります。
大切なのは、次の3つです。
- 総原価はいくらか
- 1冊あたりの原価はいくらか
- 何冊売れたら赤字を回避できるか
これを確認すると、感覚だけで価格を決めるより失敗しにくくなります。
条件を変えながら確認したい場合は、以下のツールを使ってください。
まとめ
同人誌の原価は、印刷費だけではありません。
送料、イベント参加費、交通費、設営費、梱包材、手数料なども含めて考えると、実際の赤字黒字が見えやすくなります。
まずは、以下の費用を整理しましょう。
印刷費
送料
イベント参加費
交通費
設営費
梱包材
手数料
その他経費
そのうえで、総原価を部数で割ると、1冊あたりの原価がわかります。
同人誌の頒布価格で迷ったら、まず原価を計算してみてください。